近年、「ペットと人が共に快適に暮らせる家づくり」に注目が集まっています。
犬や猫は家族の一員。人と同じように心地よく、安心して過ごせる環境を整えてあげたい――そんな思いから、素材選びや間取り計画に工夫を凝らすケースが増えています。

今回は、犬・猫と暮らす住まいを設計するうえでのポイントを、素材・間取り・設備の3つの視点から詳しくご紹介します。

1. 素材選び ― ペットの足にやさしく、美しさも保つ

● 床材：すべりにくく、傷・汚れに強い素材を

ペット住宅の基本は“床”にあります。犬や猫は人よりも床との接地面が多く、滑りやすいフローリングでは足腰に大きな負担がかかってしまいます。
そのため、以下のような素材が人気です。

• クッション性のあるフロアタイルやコルク材：足腰にやさしく、消音効果も。

• ノンワックスフローリング：爪で傷がつきにくく、お手入れも簡単。

• 防水仕様のフロアタイル：粗相や水こぼしもサッと拭けて安心。

🐶おすすめ例：サンゲツ「ペット向けフロア」シリーズなど

● 壁材・クロス：引っかき傷・臭い対策も忘れずに

猫が壁を引っかいてしまう、犬が寄りかかって汚れる――そんなトラブルには、

• 耐スクラッチクロス（引っかきに強い壁紙）

• 消臭・調湿機能付きクロス

• 腰壁パネル仕上げ（下部だけを汚れに強い素材に）
  といった対策が有効です。

2. 間取りの工夫 ― 人もペットもストレスフリーな動線計画

● 動線と居場所づくり

犬や猫にとっても“自分の居場所”が大切です。リビングの一角にペットコーナーを設けたり、階段下や窓際にくつろぎスペースをつくると、家族の気配を感じながら安心して過ごせます。

また、散歩や外出の多い犬の場合は、玄関 → 洗面室 → リビングへとつながる“足洗い動線”が理想的。散歩帰りでも室内を汚さずに済みます。

● 通気・換気でニオイを軽減

トイレスペースやペットコーナーの近くには、

• 小窓や換気扇の設置

• 24時間換気システムの強化
  などで空気を循環させる工夫を。臭いがこもらない清潔な空間を保てます。

● 掃除・安全への配慮

• 段差をなくしたバリアフリー設計で掃除ロボットもスムーズ。

• 防水巾木や拭き取りやすい床仕上げでメンテナンスが簡単。

• 吹き抜けや階段には落下防止柵を設けて安心。

3. 設備の工夫 ― 快適性と清潔さを両立

4. 外構・庭にもひと工夫

外でのびのび遊べるスペースも、犬・猫にとってはうれしい環境です。

• フェンス付きドッグランスペース

• 人工芝やウッドデッキで足に優しい床面

• 足洗い場・シンクを庭側に設置

• 夏は日よけ、冬は風よけになる植栽計画

家の内外で快適に過ごせる設計が、ストレスの少ない暮らしをつくります。

5. デザインと機能を両立させる工夫

最近は、「ペット仕様に見えない」上質なデザイン住宅も増えています。

• 造作家具と一体化したペットハウス

• 壁面収納に隠せるトイレスペース

• インテリアと調和するカラーコーディネート

“ペットと共に、美しく暮らす”ことをテーマに、機能性＋デザイン性の両立を目指すのが今のトレンドです。

ペットも家族。暮らしやすさをデザインする

人とペットが心地よく暮らす家は、「どちらかが我慢する家」ではなく「お互いを想う家」。
日々の小さなストレスを減らすことで、家族全員にとっての“癒しの住まい”が完成します。